薬品と恋心
(どうか気づかないで…!)
扉の横の壁に貼り付くようににティアは立っていた。
ーまだ外に出てもいないのに、ここで捕まるわけにはいかない。
今から隠れるにしても走るにしても、足音がしてしまうため、ティアが逃げているのがバレてしまう。
ーどうするのが一番よいか。
今できるのはたったひとつ。
ー寝るのを待つこと。
ティアは息を殺して叔父が再び寝入るのを待った。
そんなティアの願いと裏腹に、叔父はベッドを抜け出し、あろうことか扉に近づいてきた。
ガチャリとノブに手をかけた音が聞こえて、ティアは体をこわばらせた。
そしてー扉は開かれた。