薬品と恋心
ふと視線を感じてフードの影から覗き見ると、紳士がティアを興味深げに眺めているのに気がついた。
ティアは、視線から逃れるようにフードをさらに深くかぶり、左手でポンチョの裾を持ってさっと口元を隠す。
そして目線を窓ガラスに向け、そこに映る紳士を盗み見た。
首回りが苦しいのが嫌なのか、ファッションなのかわからないが、ステンカラーのシンプルなシャツのボタンを2個ほど外し、そこにタイをゆるく結んでいる。
シャツの袖は肘までまくられ、見た感じ紳士というよりは少年のようだった。
しかし、シャツから覗く鎖骨や、腕の筋肉のつき具合からみて考えるなら青年だろう。
(歳は19、20といったところですね)
こんなところに来るということは調合師なのだろう。