薬品と恋心

探し人


大通りや広場には出店がところせましと立ち並び、道行く人々で賑わっている。


今日は市のたつ日だ。


野菜や果物、雑貨から衣服、薬にいたるまでここに来ればそろわないものなどないと言われている。


さらにこの町は他の町へ行く要所としても知られており、特にこの日ばかりは他の町からも人が集まり、いつも以上の賑わいを見せるのだ。


その一角で、飲み物を片手にため息をついている青年がいた。


端正な顔立ちにややくせのある赤銅色の髪。


何か考え事をしているのか、その瞳はどこか遠くをみつめていた。


女性たちがチラチラと青年を見ながらその前を通りすぎていく。


その物憂げな表情が道行く女性たちを魅了していることに青年は気がついていなかった。


視線を感じてそちらを向くと女性たちはそそくさとその場から立ち去っていった。



その後ろ姿を眺めながら「はぁ…」と青年は本日何度目かのため息をついた。


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