薬品と恋心
本屋にて
今日は採取依頼もないので、久しぶりに本屋に行ける日だ。
この間はプランツにお客さんがいたため、後日採取した薬草を持っていった。
そのため、今日が外出日になってしまった。
本当なら人の多い市の日に来たくはなかったのだが、仕方がない。
ティアは本屋をめざして、人が行き交う大通りを歩いていた。
薬草を採るにあたって勉強しなければならないことはたくさんある。
薬草の種類はもちろんのこと、多少の薬学も必要になる。自分がケガなどをしたときに必要になるからだ。
しかし、ティアの場合はそれだけではない。
過去に自分が飲んでしまった薬の解除薬を探しているのだ。
薬草の知識はあっても、調合師のように薬が造れるわけでも、その知識があるわけでもない。
それでも、成長を止める薬、時間を止めるような薬の解除薬がないか仕事の合間にこうして調べているのだ。
叔父のもとから逃げてからずっと調べているのだが、膨大な量の本を読んだにもかかわらず、そんな薬はどこにもなかった。