薬品と恋心
ティアは人波に押し潰されないように端を歩く。
ときおり人にぶつかり、よろけながらもなんとか目的地にたどりついた。
中に入り、ティアは棚を見上げて困ったように眉をよせた。
(このまえは手の届く位置にあったのに…)
文献など売れもしないし、誰も手に取らないためか上の方に置いてあった。
ティアが手を伸ばしたところで届きそうにない。
こういうとき、子供の体は不便だ。
普通の本でも持つのは大変なのに、文献は極厚で重たそうだ。
踏み台を持ってこようとしたものの、踏み台は大きい上に重く、ティアが引っ張っても動かない。
店主に取ってもらおうとも思ったが、客の対応で忙しくしていて、とても頼める状態ではなかった。
しかし、あきらめるわけにはいかない。