薬品と恋心

「そんなに急ぎの調べものなのですか?」


言っていることはもっともらしく聞こえるが、説得力がまるでない。


ティアはゆっくりと視線を落とした。


青年の腰にあるものを目にしたとたんビクッと体が反応する。



ー剣士!?



前に店で見た時と同じような格好をしているが、その腰には剣があった。


見たとたん、一瞬にして気が引き締まる。


いったい何が目的なのだろう。


私を追いかけてきたのか、それとも別の何かを追いかけて、たまたまここへきたのか。



(まさかとは思いますが…)



ー追っ手なのでは。



ただ見つけたから、というのは疑わしく思えてティアはフードを押さえて少し後ずさり、ポンチョ下の短剣に手をおいた。


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