薬品と恋心
ティアの警戒心を知ってか知らずか、青年は文献をまじまじと見つめていた。
「まぁ、急ぎって言ったらそうなるかな。それよりも…」
青年は手に取った本のタイトルを見て怪訝な顔をした。
「これ、調合師が読むような文献だぞ。普通に読むものじゃないと思うけど」
「わかってます」
「ふーん…古代薬に興味あるのか?」
「…必要だから読もうと思っただけです」
「必要だから、か。成長でもしたいのか?」
ーなんでわかるの。
探るような瞳にティアの心臓がドクッと嫌な音をたてる。
短剣を握っている手に自然と力がこもった。