薬品と恋心
探し物
青年の名前はジーニアス。
職業は騎士兼調合師。
貴族出で、今はある貴族の女性の護衛をしているらしい。
騎士なら剣を持っていても不思議ではない。
帯刀している理由がわかり、ティアはホッとしていた。
今日は休みをもらっていて、ブラブラと市を歩いていたらしい。
「それで、私を市につきあわせている理由はなんですか?」
出店の小物を眺めながらティアは尋ねた。
「無理につきあわせたのは悪かったけど、そんな地を這うような声で聞かなくてもいいだろー?」
ジーニアスは肩をすくめて苦笑いを浮かべた。
「お土産探しをお願いしようと思ったんだよ」
「お土産…ですか。誰に?」
「オレが警護している姫様に。何か買って帰らないといけないんだけど、女の子が欲しいものがイマイチわかんなくってなー」
「なるほど…」
「お礼はするから手伝って欲しいな、と思って」
まあ、そういうことなら協力しないでもない。
さっさと終わらせて、本屋に戻ればいいことだ。
「わかりました。それで、その方はどんな方なのですか?」
「えーと、それは…」
ジーニアスはその姫様の特徴を話はじめた。