薬品と恋心
貴族の女性が持っているアクセサリーにくらべたら、たいしたものではないかもしれない。
でも、これだけきれいならばきっと満足してもらえるだろう。
「それ、なかなかいいね」
後ろから店を覗いていたジーニアスの声が聞こえて、ティアは顔を上げた。
「そうですよね!」
気に入ってもらえたことが嬉しくて、自然と笑顔になる。
「これ、光にかざすとキレイなんですっ」
つい細工の素晴らしさについて話してしまった。
ジーニアスはそれを嫌がるどころか興味深げに聞いてくれていた。
「じゃあそれにする」
一通りの話を聞いたあと、ジーニアスはティアの手から髪飾りを受けとると嬉しそうにそれを購入しにいく。
ティアはジーニアスからそれをもらえる女性が少し羨ましく思えた。