薬品と恋心
ちまたで騒がれている幻の採取人ーそれがまさかここにいる子供だとは誰も思わないに違いない。
カウンターにいる子供の名前はティア。ティアは正確には子供ではない。
確かに体こそ10歳の子供の姿をしているが、これでも17歳の乙女だ。
採取人はその仕事内容から信用も必要になる。子供の姿では依頼人を不安にさせてしまうので、正体を隠しているのだ。
他にも理由があるのだが、依頼を渡す薬草販売店としてもそのほうが良いらしく決して喋ろうとはしない。
そのせいなのか、いろいろな噂がとびかっている。
原因はおそらく依頼を受けたことのある各地の店。難しい依頼を受けたのは誰なのかしつこく聞かれて、困ったあげく適当にごまかしたに違いない。
採取地に危険なところが多いところでは、熊殺しの猛者だったり、別の場所では美女だったりともはや本当のことがわからない。