薬品と恋心
文献を買わずに済んだため、ここしばらく滞在費用の心配はしなくてよかったのだが、さすがにもうそろそろ尽きそうだ。
それに最近ジーニアスは調合依頼を受けたらしく、なにやら忙しそうにしている。
そして数日前から出掛けていて留守だ。
しばらく戻らないと執事さんから聞いている。
この間に本来の仕事をしようと薬草販売店にやって来たのだ。
「今のところ来てるのはこれくらいか」
店主は数枚依頼書を取り出し、カウンターに並べた。
依頼書は2枚一組になっている。
上の一枚は店、下の写しは採取人の控えだ。
ざっと見たところ、どれも報酬はあまり高くない。