薬品と恋心
採取人を探す期間がたった2日では、採取人を探すだけでも難しい。
「いちおう依頼人には間に合わないかもしれないと伝えてあるがな…第一、この依頼を受ける採取人が少ないんだからな」
ティアは強風吹き荒れる崖を思い出した。
採取地までの足場はもろく、危険だった。
この辺の採取人はあの場所が危険なことをよく知っているのだろう。いくら報酬が高くてもあんな危ないところに行こうなんて思わないのだ。
その依頼をティアは受け、きちんと依頼を果たしたのだ。
そこまで考えて、ふとティアはあることを思い出した。
「ところで、在庫はなかったのですか?確か前に採ってきたとき、店頭販売用に少し置いてませんでしたか?」
確か余分に採ってきていたはずだ。
「ああ、それなぁ。その依頼人がねこそぎ買っていったよ。でもまだ欲しいらしいんだ」
「え…?」
「なんでもお貴族様の美肌水にするらしくてな。金に糸目はつけないらしい。お陰でこっちは儲かったがな…でもさらに欲しいといわれても、ないモンはないからな」
店主はカウンターに肘をつき、困ったように息をついた。