薬品と恋心
はちあわせ
途中まで荷物を運ぶ幌馬車に載せてもらい、そこから歩いて2日。
ようやくティアは採取地にたどり着いた。
(こんなことなら、自分の分を少しとっておくべきだったな)
そうしたら、またこんなところへと来なくてもよかっただろう。
そんなことをいまさら考えても意味がない。
ティアはひとつ深呼吸すると、崖の洞窟に続く壊れかけの足場に慎重に足をかける。
ギシ、と足場の板がティアの体重をうけてきしむ。
さらに崖の下から強風が吹き付け、ティアの髪とポンチョをまきあげ、進むのを阻もうとしてくる。
ティアはゆっくりと歩を進め、洞窟にたどり着いた。