薬品と恋心
薬草は誰にも採取されることなく、以前に来たときと同じように群生していた。
ティアは依頼書の写しを取り出し、どのくらい要るのかを確かめた。
思っていたより少なくてホッとする。
根こそぎ採ってしまっては、次に来たとき薬草が採れなくなる。
全部は採らないというのが暗黙のルールだ。
「ごめんなさい、少し分けてください」
ティアは薬草にやさしく語りかけると、依頼されていた分と自分用に少し採取した。
そして再び危険な足場を渡り、山へとおり立った。