薬品と恋心
汗をぬぐい「ふぅ」と息をついたとき、ガサガサ、という草を踏み分ける音が聞こえて、ティアはとっさに短剣に手をかけた。
ここにはティアひとり。
危険な場所であることはみんな知っていて近づくことはない。
(…となれば、来るのは採取した薬草を狙う盗賊!!)
隠れるひまもなく、人影が現れる。
ティアは短剣を抜き、相手の右腕に狙いをつけ、走り出す。
ティアの剣には毒が塗ってある。
少しでもかすれば、しばらく痺れてその場から動けなくなる。
解毒薬があればすぐに痺れはなくなるが、なくても2時間くらいすれば消えてしまうようなものだ。