躊躇いのキス
 
今日初めて知った。

今まで見てきた雅兄は、本当にあたしを妹としてしか見てこなかった顔だってこと。


だってこんなにも
色っぽい男としての顔なんか見たことがない。



「………いいもん。

 雅兄なら襲われても……」



心臓は壊れそうだけど
雅兄に壊されるなら、それは本望……。


雅兄は「はぁ…」とため息を吐くと、



「だからそう言った台詞は

 俺を完全におとしてから言え」


「む……」



あたしの鼻をつまんだ。
 
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