躊躇いのキス
8章 ドキドキ
「あ……」
「はよ」
朝、家を出ると、
ベストタイミングで雅兄も家を出てきた。
顔を見た瞬間、昨日の出来事が思い浮かんで
つい顔がカッと熱くなってしまう。
「……顔に出過ぎ」
「…っ」
だけど雅兄はいたって普通で、少し呆れ気味にあたしを一瞥すると
さっさと車が停めてあるガレージへと向かってしまった。
「ちょちょっ……」
「何?」
「何って……。
あの……送ってくれるとか……ないの?
一応ほら……彼女だし」
自分で言ってて、ちょっと照れる。
昨日まではただの幼馴染。
だけど今日からは恋人。
「仮だけどな」
「……」
それを言われては何も言い返せない。