躊躇いのキス
「もー!
そんな人をバカにするんだったら、出て行ってよ!
ここ、あたしの部屋なんだけど!!」
「無理。
俺の部屋でもあるし」
「はあ?」
「だっただろ?
昔お前が言ったんじゃん」
「え?」
(まさにぃはいつでも、ゆきなのおへやに入ってきていいんだよ。
ゆきなのおへやは、まさにぃのおへやでもあるんだから)
「ってな」
「い、いつの話!?
そんなの無効に決まってんじゃん!!」
「知るか」
何を言い出すかと思えば、そんな小学生の時に言ったような言葉。
なんとなく覚えてはいるけど
そんなのは20歳を超えたあたしたちにとっては、完全に無効な話であって……。
「だーめ。
俺には侑那を一人にさせない義務があるの」
なんて台詞を言われて、
つい追い返そうとした腕が止まってしまった。