躊躇いのキス
 
「ま、雅兄っ……」
「何?」
「待ってっ……」
「なんで?」


雅兄は近づけた唇で、つーっと首筋をなぞる。

体中がビクンと反応して、いっきに熱が上昇した。


「襲われたかったんでしょ?俺に」

「そ、だけどっ……」


襲われたかった、といえばちょっと違って……

雅兄をドキッとさせたかっただけ。
あたしのことを女として、意識させたかっただけ。


そんなあたしの気持ちを知らずに、雅兄の右手がスカートのすそをたくしあげる。

大きな手が、普段触られない太ももを撫ではじめた。


「…っ……」


こんなこと、初めてじゃないのに初めての時以上に敏感に反応して……

恥ずかしさとくすぐったさと快感で、どうにかなりそうだった。
 
< 113 / 203 >

この作品をシェア

pagetop