躊躇いのキス
 
「ほんっと男心が分かってねぇなあ……」

「え……?」


「そういうとこ。
 俺のために必死になって、泣きじゃくってる姿とか……

 結構そそるけど?」

「……っ」


耳元で、笑いが混じった声は
低く男を感じさせる声。

ドキッとして、思わず涙が引っ込んだ。


「俺が本当に、お前に何も感じてないと思う?」


顔を覗き込まれ、じっと目を見つめられる。

目を逸らしたくなったけど、
それを許さないように頭を抑えられていて……


「結構俺、今必死になって抑えてんだけど」

「えっ……?」


予想外の言葉を聞いて、目を丸くさせた。


「確かめてみる?」
「え?あ、ひゃっ……」


ニヤッと笑って手を掴むと、雅兄は自分の下半身へともっていこうとする。

それには思わず、手を振りほどいた。
 
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