躊躇いのキス
重ねられただけのキスは
すぐに離されて、
まだ数センチの距離を保ったままの状態で、ニコリと微笑む。
「今日のはキスしたいって思えるくらい可愛かったからご褒美」
「……な、にそれっ!!」
「もっとしてほしい?」
誘い文句を言う雅兄は、悔しいけどやっぱりカッコよくて……
「……して、ほしい……」
逆らいたい気持ちを押し殺して
雅兄の頭へと腕を回した。
「ん。可愛いから合格」
「…っ……」
満足したように微笑んだあとのキスは
フレンチなキスなんかじゃなくて、
恋人同士がするような
甘く濃い…混ざり合うキス。
「こう見えて、
結構惚れてますよ」
雅兄は、最大の殺し文句を添えた。