躊躇いのキス

「いいでしょー?
 デートにはもってこいでしょー?」


智世はニヤニヤと笑っている。


「え、でもっ……。
 こんないいチケットもらっちゃっていいの?
 智世たちは?」

「実はそれさ。
 懸賞で当たったやつなんだけど、実はかなりクジ運がよかったのか2枚当たっちゃったんだよね。
 だから1枚余るし、あげるよ」

「すごっ……。
 わわっ……でもどうしよっ……。
 雅兄、行ってくれるかなー……」

「誘いなさい。
 無駄になるんだから」

「……うん。頑張る」


カップルシートの映画館なんて、生まれて行ったことがない。

いったいどんなものなのかすごい気になるけど……
雅兄、本当に行ってくれるかな……。
 
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