躊躇いのキス
「べ、べつに騙すとかそういうつもりじゃないもん!
チケットは本当にもらったものだし、
そ、それに……あたしと雅兄だって、カ…カップルだし……」
「自分で言って照れるな。
言うくらいなら、最後まで堂々と言え」
「……」
ごもっともです。
だけど雅兄の彼女になれたということは
口に出すとやっぱり恥ずかしいもので……。
「ま、仕方ねーか。
席どこだっけ?」
雅兄は諦めたようにため息をつくと、チケットの番号の席を探し始めた。