躊躇いのキス
 
「侑那ー?雅人くんー?
 ご飯できたわよー」

「あ……」

「はーい。今行きますー」


あたしよりも先に、ちゃっかりといい返事をしている雅兄……。


「え、家でご飯食べてくの?」
「悪い?」
「べつに……悪くないけど……」


雅兄の家は、このあたりでは多分一番のお金持ちの家だ。

おじいさんが学園の理事長をやっていて、おじさんは自分のやりたいことを優先したみたいで海外を飛び回るお仕事。
おばさんもおじさんの秘書をやっているみたいで、一緒に飛び回っている。

そして雅兄は、おじいさんが理事長をする学園の教師をやっていて……。

多分、この先問題が起きなければ
その学園は雅兄が継ぐことになるんだろう。



確かにお金持ちで、裕福な家庭だけど
お金持ち特有の冷たさがどこかにあるみたいで……。


昔から、雅兄は家に居座ることが多かった。
 
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