躊躇いのキス
 
なんだか子ども扱いをされた気分で、
一人盛り上がっていた自分がバカみたいに思えた。


いつもいつもあたしばっかりドキドキして、
雅兄の言葉と態度に一喜一憂して……




「雅兄のバカッ!!!」




恥ずかしさと悔しさで
一言暴言を吐いて、自分の家へと入っていった。


「あら、帰ったの?」
「ただいま!」
「何一人で怒ってんのよ……」


ドタバタと自分の部屋に向かうあたしに
お母さんは首をかしげていて……



「……あーわかんねぇ………」



夜空に向かって
雅兄がつぶやいた言葉なんか知らずにいた。
 
 

幼馴染という距離は近すぎて
5歳差という年の差は大きくて


そんなことに
雅兄が悩んでいたなんて知らなかった。

 
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