躊躇いのキス
え……?
今の声って……
その聞き覚えのある声に
ドキドキと高鳴る鼓動を抑えて、半個室となっている席をそっと覗き込む。
「……あ…」
そこに座っていたのは
やっぱりあたしが想像した通りの……
「雅兄……」
大好きな人で……。
だけど……
「やっと認めたんですね」
と目の前で微笑む見知らぬ女の人。
「うん。
好きだ……。
一人の女として」
雅兄は、
あたしが見たことのない男の顔をして
彼女に向かって告白をしていた。