躊躇いのキス
「……な……ゆきな…」
「……ん…」
遠くなっている意識の中で
誰かがあたしの名を呼んでいる気がした。
重い瞼を必死に開けて
ぼやけた視界で目をこらす。
「侑那」
「……まさ…にぃ……?」
「寝ぼけすぎ」
「………っ!?」
ようやく意識がはっきりして、
今目の前にいるのが雅兄だと気づく。
いっきに目がガン開きになって、ガバッと起き上がった。
「ちょっ、なっ……なんであたしの部屋にいるの!?」
「なんでって……。
公子さんが入っていいって言ったから?」
「なっ……」
何それっ……。
ってか、お母さん、勝手すぎでしょ。
小学生とかじゃないんだからっ……。