躊躇いのキス
12章 彼の計画
 
《合コン、今日だよ!
 忘れてないよね!?》


「あ……」


携帯に書かれている、智世からのメッセージを見て、思わず声が漏れた。


朝はなんとなくバタバタして、
携帯をチェックする余裕なんてなくて…。

控室に荷物を置くついでに、携帯をチェックしようと開いたところだった。


「忘れてた……」


そういえば、金曜日に合コンをセッティングしてくれるとか言ってたっけ……。
思いきり忘れてたんですけど……。


雅兄のことで頭がいっぱいになりすぎて
智世が新しい人を紹介してくれるということすらも忘れていた。

だから今日も当然、いつも通りの出勤だと思っていたので
服装はスーツのままで……。


《ごめん。忘れてた。
 スーツなんだけど》


正直に送ったら、すぐに返信の携帯が震える。


《あのねぇ…!
 あんた、このままボイコットするんじゃないでしょうね》

《ま、まさか!》

《……ま、いーや。
 スーツのままでいもいいから来なさいよ》


と送られ、
すぐ下には合コンが開催されるお店のURLが貼られていた。


仕方ない。

行くしかない、よね……。
 
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