躊躇いのキス
結局昨日は、ご飯のあとは一言も話さず帰ってしまい、若干気まずいものがある。
いったい、何を話すべきか……
なんて一人あわあわとしているうちに、雅兄はすぐ目の前まで来ていて……
「あ……こ、こんばん……」
「……」
「は」と言い終わる前に、
雅兄はあたしの横を通り過ぎてしまった。
え……
何……?
もしかしてあたし、シカトされたの……?
目も合ったような気がしたのに、何も声をかけられなくて、
それどころか人の挨拶さえもスルーされている。
それにはいい加減、腹が立ち……
「ちょっと!!」
「……ん?」
背を向けて歩き続ける雅兄に罵声を浴びせた。