躊躇いのキス
 
「ちっせー手」

「雅兄が大きいんだよ」

「昔からお前は小さいもんな」

「そ、んなことないし!」


確かに標準より、少しだけ小さいけど……。
でも今は、9cmヒールを履いているからそれなりだ。


かじかむ手に、ひんやりと冷えた指輪をそっと通す。

関節部分でゆっくりと進み……




「………綺麗…」




キラキラと輝くダイヤの指輪が

あたしの左手薬指におさめられた。




ずっとずっと夢見てた。

この指輪が自分の指に飾られる日を……。



まさか今日、
それが実現するなんて……。

 
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