躊躇いのキス
 




「ま、さにぃっ……」

「んー?」

「っ……待って…」


車に乗り込んだ瞬間、襲ってきたのは雅兄からのキスの嵐で、
雅兄の襟元を掴みながら、なんとか理性を保って制止の声をかける。


「ここっ……車の中だよっ……」

「だから?」

「だからって……
 ちゅ、駐車場だしっ……人に見られちゃうっ……」


キスくらいなら、確かに構わない。

だけど雅兄から降ってくるキスは、きっと放っておくとそれ以上のことをされかねないほど深いキスに変わっていて……。


「だってさー。
 無理なんだもん」

「無理って……」

「ようやく気持ちに気づけて、今侑那と二人きりになったって言うのに……
 抑えるのとか無理」

「いや、でも……」

「侑那は嫌?」

「……嫌じゃ…ない……」


その聞き方はずるい。

嫌なんて、言えるわけない。



「じゃあ、止めんなよ」

「やっ、だからっ……!!!」



そういう問題じゃない!!



結局雅兄の行為は、隣に車が停められようとするライトによって制止された。
 
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