躊躇いのキス
意外にも、待ち合わせている居酒屋はお店の駅と同じで、
電車に乗ることなくすぐについてしまった。
ためらいもなく店に入る雅兄のあとに、ひょこひょことついていって、
息苦しいくらいの心拍数があがっていく。
「お待たせ」
「おせー」
雅兄が一言言って、返ってきた返事は男の人の声で……
「え?」と思って顔を上げた。
だけどそこには、やっぱり、この前見たあの彼女がいて……
「久しぶり。
………侑那、ちゃん?」
「………ああっ!!」
彼女の隣には
雅兄の友達である、
湯浅奏人さんがいた。