躊躇いのキス
 
「人が挨拶してるってのにシカト?!
 それがお隣さんにたいする態度なの?」

「……その声、侑那か?」

「え?」


だけど返ってきた返事は、言い返してくるような言葉じゃなく、
目を細め、じっとあたしを見つめている。


「な、に……
 見て分かんないの?」

「ああ、ほんとだ。
 悪い、今コンタクト外してっから。

 っつか……

 すげぇな。
 お前でも化粧とかで化けるんだなっ」

「はあ?」


なるほど。
コンタクトしてないうえに、辺りも暗いから分からなかったのね。

って、化けるって何?!


「失礼なんですけどっ……」
「悪い悪い。
 ほら、昨日はすっぴんだったから」
「…っ」


言われて思い出したけど、
確かに昨日は、久々の再会だったっていうのに、お風呂上がりですっぴんだった。


そう考えると、ちょっと後悔……。
 
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