躊躇いのキス
「お前が見たっていうとき、多分奏人がトイレかなんかで席外してた時だよ。
そのタイミングでお前が俺らを目撃したから、ややこしいことになっただけ」
「そ、そうだったんだ……」
ほんと、自分が恥ずかしい……。
勝手に勘違いして、勝手に身を引こうとして……。
「えっと……侑那、さん?」
「あ、宮入侑那です!
すみません。お恥ずかしいところを見せちゃってっ……」
「いえ、気にしないでください。
あと、そんな固くならないでくださいよ。
あたし、多分侑那さんより年下だと思うので」
「え!?」
それを聞いても驚きの声をあげる。
パッと顔を上げると、やっぱり綺麗な顔立ちをした彼女の姿があって……。
「柊紫乃です。
まだ大学生なんで……」
「ええっ!!」
ああ、やっぱり神様は不公平すぎる……。
こんなにも大人びて綺麗な人が
あたしよりも年下……。
一応あたし、社会人なんですが。