躊躇いのキス
 
驚くあたしの抵抗なんて、たかがしれてて……
というか、驚きすぎて抵抗なんか忘れてて……


引き寄せられる頭は、ただされるがまま。


近づいてくる顔。

かかる吐息。
ぶつかる鼻。



だ、めだっ……
キスされるっ……





「………どう?
 ドキドキした?」


「…っ」





ぶつかると思っていた唇には、何も触れることはない。

だけどかかってくる吐息と声に、おそるおそる目を開けると、
そこには小悪魔な瞳をした雅兄がじっとあたしを見つめていて……


「俺を挑発しようなんて、百年はえーよ」

「いたっ……」


おでこをコツンと叩かれた。
 
< 22 / 203 >

この作品をシェア

pagetop