躊躇いのキス
驚くあたしの抵抗なんて、たかがしれてて……
というか、驚きすぎて抵抗なんか忘れてて……
引き寄せられる頭は、ただされるがまま。
近づいてくる顔。
かかる吐息。
ぶつかる鼻。
だ、めだっ……
キスされるっ……
「………どう?
ドキドキした?」
「…っ」
ぶつかると思っていた唇には、何も触れることはない。
だけどかかってくる吐息と声に、おそるおそる目を開けると、
そこには小悪魔な瞳をした雅兄がじっとあたしを見つめていて……
「俺を挑発しようなんて、百年はえーよ」
「いたっ……」
おでこをコツンと叩かれた。