躊躇いのキス
3章 蘇る恋心
《まさにー》
《ん?どうした?》
《あのね!だいすき!!》
《おー。俺も侑那のこと、大好きだぞ》
あれはいつのことだっただろう……。
あたしがまだ、幼稚園という制服につつまれ
雅兄は黒いランドセルを背負っていた。
5つ上のお隣のお兄ちゃん。
あたしはそのお兄ちゃんが大好きで、いつもひっついて追いかけてた。
優しくて
面白くて
カッコよくて……。
《大きくなったら、まさにいと結婚するんだ!!》
それが両親にたいしての口癖だった。
幼いながらも、一生懸命の恋心で
それは小学生にあがっても変わらなかった。
5つ離れているから、一緒の学校に通えたのはたったの1年で……。
あたしが2年生になる頃には、雅兄は学ランを着て、少しだけ遠くの中学へ通い始めた。