躊躇いのキス
 
つづく沈黙。

言葉を続けられなくて、そのまま家の前に着いた。


いい加減、どこの家も寝静まっていて
電気がついている家なんてない。


車はもう停まっているのに、降りることが出来なくて
雅兄がカチャリと助手席のシートベルトを外す。


「ほら。
 早く寝ないと、明日起きれなくなるぞ」


目を合わさずに言われたことで
確信した。

雅兄はあたしの気持ちに気づいたと……。


再び、あたしのネジが外れてしまった。


あたしはシートベルトを外した雅兄の手を掴むと、




「………好き…」




雅兄の瞳を捉え

初めて面と向かって、気持ちを伝えた。
 
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