躊躇いのキス
「はぐらかさないでよっ……。
あたしは雅兄のこと、男の人として好きって言ってんの!
ずっと……
小さい頃からずっとずっと……!!」
「……」
暴走したように吐き出された告白に
雅兄は困った顔をしていて、
今さらながら自分の行動に後悔をしてしまう。
「……侑那…」
低く呼ばれた名前は、
このあとの答えを物語っていて……
「俺、彼女がいるって言ったよな」
「……」
頭の中から抜け落ちていた
大事な事実。
あたしのお店で買って行ったネックレス。
「お前の気持ちは嬉しいけど……
今の俺には応えられないよ」
「……っ」
その答えに、
堪えきれず車から駆け下りた。