躊躇いのキス
「……は?え?」
今の状況が瞬時に理解出来なくて
これ以上ないってくらい目を見開く。
あたしの上には
ぼーっとした表情で見下ろす雅兄がいて……。
この寝起きの悪さ……
いまだに健在だったのね……。
ようやく今の状況を把握することができた。
「ま、雅兄……」
「……誰?」
「誰って……。
侑那に決まってるでしょ!!」
「嘘つけ。
俺の知っている侑那は、もっと子どもだ」
「あのねー……。
いつのこと言ってんの!?
あたしだってもう22だっての!!」
「……」
完全に寝ボケている雅兄に、呆れ気味で返す。
雅兄は何も言ってこなくて、
じーっとあたしを見つめてるだけで……。
やばい……
ドキドキしてきた……。
その視線に耐えきれず、あたしの心臓は加速していった。