躊躇いのキス
7章 仮彼女
「侑那!」
「智世ー!」
待ち合わせの駅。
一人立ち尽くしていると、自分の名を呼ぶ声がして振り返った。
そこには待ち人である、海上智世(カイジョウ チヨ)の姿があった。
「久しぶり!髪切ったんだねー!」
「あ、うん。長いのめんどくさくてさー。バッサリいっちゃったよ」
そう言って、自分の髪の毛をいじる智世の髪は、
前に会ったときは肩下まであったのに、今ではボブヘアになっていて、
「でも似合ってるじゃん。可愛い!」
「ありがと」
目がくりくりとした智世には、本当によく似合っていた。
智世は高校時代の友達の一人で、今でもこうやってたまに会って遊ぶ。
あたしの友人の中でも、唯一の平日休みの子だから、こうやって休みが重なれば会うことが多いのだ。
「お腹空いた!
とりあえず、ランチから行こう!」
「そうだね。いこいこ」
あたしたちは、お昼時に待ち合わせたということもあり、
ひとまずランチが出来るお店へと向かった。