躊躇いのキス
「お腹ぺこぺこー。
デザートセットのにしちゃおうかなー」
「いいじゃん、しちゃいなよ」
「ダイエット中なんだけどなー」
「今日はお休み」
「……だよねえ!」
なんて、いかにも女子トークらしく盛り上がって
二人揃ってデザートセットを注文。
ダイエットは、常にしている。
それが女子だ。
店員さんにお互いに注文して、その背中が去ると同時に、
智世はずずっと前のめりになって口を開いた。
「で?雄介と別れたって本当なんだよね!?」
「あ……まあ、うん」
「マジかぁ……!!」
どうやら、智世は今日はその話が一番聞きたかったらしい。
ずっとその話を持ってきたかったけど、こうやって落ち着いて席につくまで堪えていたみたいで……。
雄介と智世、そしてあたしは、同じ高校だったので顔見知りだった。
あたしと雄介は3年になったときに同じクラスになって、付き合うようになったけど、
智世と雄介は、1年の時に同じクラスだったみたいで、それなりに仲は良かった。
だからあたしと雄介の話は、智世が一番知っていたことなので、
別れたということを聞いて、やっぱりショックがあったようだ。