躊躇いのキス
 
「お腹ぺこぺこー。
 デザートセットのにしちゃおうかなー」
「いいじゃん、しちゃいなよ」
「ダイエット中なんだけどなー」
「今日はお休み」
「……だよねえ!」


なんて、いかにも女子トークらしく盛り上がって
二人揃ってデザートセットを注文。

ダイエットは、常にしている。
それが女子だ。


店員さんにお互いに注文して、その背中が去ると同時に、
智世はずずっと前のめりになって口を開いた。



「で?雄介と別れたって本当なんだよね!?」

「あ……まあ、うん」

「マジかぁ……!!」



どうやら、智世は今日はその話が一番聞きたかったらしい。

ずっとその話を持ってきたかったけど、こうやって落ち着いて席につくまで堪えていたみたいで……。


雄介と智世、そしてあたしは、同じ高校だったので顔見知りだった。

あたしと雄介は3年になったときに同じクラスになって、付き合うようになったけど、
智世と雄介は、1年の時に同じクラスだったみたいで、それなりに仲は良かった。


だからあたしと雄介の話は、智世が一番知っていたことなので、
別れたということを聞いて、やっぱりショックがあったようだ。
 
< 82 / 203 >

この作品をシェア

pagetop