躊躇いのキス
「最後って……」
「そのままの意味。
会うのもその日が最後。
……別れてきた」
「……」
予想外すぎる言葉に、頭がついていかない。
雅兄は彼女と別れてきたっていうの?
あんなにラブラブそうに人に言ってきたのに……?
「きゃっ……」
腕を引かれ、そのまま雅兄の胸元へぽすっと落ちた。
ドキドキと心臓が一気に加速して、ありえない考えが頭をよぎってしまう。
「……ったく……
予想外すぎ」
「な、にが……?」
頭の上で聞こえる、少し呆れた雅兄の声。
だけどその腕は、しっかりとあたしの体を捉えている。
「女として見たことなんかなかったのに」
ひどい言葉なのに、その声は優しくて……。