躊躇いのキス
 
あれ……?
ってことは……


「その時、ドキッてしてくれたってこと?」
「……」


その言葉に、雅兄はハッとしたように目を見開いて、
そのままバツが悪そうに目を逸らしてしまう。


そんな反応をする雅兄は、正直初めてで……


「そうなんだ?!」

「うるせぇよ」

「きゃっ……」


ドサッと体を引っ張られて、いつの間にかベッドに押し倒されている自分。

急なことすぎて、頭がついていかない。



「じゃなくちゃ、彼女と別れてねぇだろ」

「……」


真っ直ぐと見下ろしてくる雅兄の瞳に、またドキドキが加速していく……。



「あんま無防備にしてると、襲うぞ」



初めて見る、男としての顔に
あたしの心臓は壊れそうになった。
 
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