独り言<あるOLの一日>
最近いつも一緒に食事をするのは真奈美と同じ年齢で派遣社員の田村京子。

半年ほど前に派遣されてきた。

ただし、真奈美と大きく違うのは彼女が結婚3年目の主婦だということである。

子供はいない。

前の職場では、結構バリバリの営業ウーマンだったが、旦那と同じ職場だったために寿退社した。

結婚して主婦業をそれなりにこなすには、なるべく気楽な仕事にしようと決心して、派遣社員の道を選んだ。

平日は旦那のために帰宅後きちんと食事を作り、たまには気分転換にお菓子を焼くなど家事をこなしている。

週末には夫婦で小旅行に出かけるのが趣味で

「主婦業と私生活」

に明確に重点をおいて生活している。

まるでセレブな専業主婦である。

真奈美にとっては正直羨ましい人生である。

彼女なら、仕事も主婦業も両立できると思うのだが、

「まともに働いて主婦業もやれなんて、冗談じゃないでしょ?

男並みに仕事をしようと思えば、残業なんて当たり前だし、付き合いもでてくるし、ストレスもすごいし時間的にも無理でしょ?

主婦業を楽しみながらやる余裕なんてなくなるもの。

私は、家庭を持った以上、家の事はきちんとやりたいから、

旦那に稼いでもらって、私は働く事を自分の選択肢に入れないと決めたの。

その代わりそれぞれ担当をしっかりやるという分業制度みたいなものよ。
  
今はまだ子供がいないし、じっと家にいるのも窮屈だからストレスにならない程度に働いているだけ。」

だと言う。

もちろん、家事よりも働くことを優先したいという女性もいるだろう。

真奈美は、そういう京子の話を聞いて、どちらかというと自分も彼女と同じタイプのように感じた。

京子の旦那にはまだ会ったことはないが、きっと素敵なヒトに違いない‥と思った。
< 23 / 50 >

この作品をシェア

pagetop