独り言<あるOLの一日>
ごくごく、普通に人並みの生活をして、家庭を築くという当たり前の事が
人生の理想の形だった。

ほとんど多くの独身OLがそうじゃないのかな?

「少子高齢化」が問題になったときに独身女性が質問されると、
「結婚はしたい」と答えている。

その気持ちは、たぶん真奈美も同じである。

だって、大多数のヒトはごくごく一般的な普通のヒトであり、特別な才能や能力がひょっとしたらあるのかもしれないけれど、とにかく今は発揮できていない人達だ。

もちろん、特別な才能や能力を持った人だって、ごくごくささやかな幸せを望んでいるのに、能力があるがゆえにそれがかなわないヒトだっているかもしれないが‥。

真奈美のようなほんとに掃いて捨てる(言葉は悪いけど)くらい多くのヒトはごくごく普通のヒトだ。

太古の昔から一般の人達は、自分の足元をきちんと見て、身の丈に合った幸せを大切に丁寧に育てようしてきたはずだ。

一般ピープルである真奈美が、貴族に生まれ育つ事は望んでもできない。

これは、当たり前のことである。

でも、きっと、真奈美はどこかで、望めば貴族になれるような幻想を抱いてきたのかもしれない。

貴族でなくても、誰もがきっと無条件にスーパースターや大金持ちになれるような幻想を子供の頃からテレビや映画を見て、無意識に自分の中に夢の世界を描いて育ってきたのかもしれない。

真奈美よりもっと前の世代は、テレビや映画の世界は本当に夢の世界の話、只憧れるだけの世界だったのに、真奈美の生まれた世代では、それらがもっと身近なものになり、
いつの間にか現実と夢の世界が混同してしまったのかもしれない。
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