レモンキャンディ




毎回のごとく通勤ラッシュの本日。
いつもギュウギュウ詰めだ。



ふと昨日のことを思い出す。



黒板にあんなことを貼られてからみんなの私を見る目が変わった。


なんとなく避ける女子。

ニヤニヤしながらこっちを見る男子。




変わらないのは、
いつも可愛いゆきと
私のお父さんの竜。




私のこと話はいろんな学年の人がもう知っているようで、
先輩にも聞かれた。




なんていったらいいのかわからなくて、
ただただ違いますとしか言えなかった。





そんなことをおもっているとお尻になにか当たった。



気にせず、窓の外を見つめる。



電車が揺れるのと合わせてまた何か当たる。



するとむくむくと固くなってきた。



そのときにこれが何かわかった。




本当に最悪だ。



だけどほっておいても別に何かするわけでもないだろう。


無視を決め込んだ。


そういう風になってしまうこと自体は整理現象なのだろう。




そう思い無視していた。


だけど、混雑がピークになったときそれじゃない何かが私のお尻に触れた。



これが人の指だとすぐに気づいた。



緊張してるのか、微かに震えているその指がお尻からあの場所を探ろうとする。



声を出さなくては。


だけど声が出ない。



殴られる。




早く、次の駅に。

そしたら私はもう乗り換えられる。



車内アナウンスが響いて、
私は開いたドアから急いで飛び出した。



相手の顔を見ておけばよかったと階段を登り切ったときに思った。




それからまたずんとする思いを抱えて次の電車に乗った。





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