レモンキャンディ





イケメン君は私のことをみて一瞬驚いた顔をしたがすぐに微笑みを向けた。




「どうしたの、高橋さん。具合でも悪いのかな?」



私は教室でしてしまった無礼を思い出して少し顔が赤くなった。



「あ、あの。この前はすみませんでした。私あのときちょっと動転してて、、、その、、失礼なことしちゃって、、、」




うつむきながらそういうとイケメン君は私の頬に手を当てた。


その瞬間私の全身の毛が逆立った。



「あ、あの、、、」



吹き出る冷や汗を感じる。




「僕はさ、今まで一回も自分から告白したことなんてなかったんだ。告白されることはあるけど今まで全部断ってきた。興味がなかったからね。」



そういって私の顎に手をすべらせ顔を上に向かせる。

全体に色素が薄くて彼はとても綺麗だった。


そして続ける。



「だけど君は違った。
君とぶつかったときチャンスだ。って思ったんだよ。これは今まで誠実に生きてきた神様からのご褒美なんじゃないかってね。」



私の目にはすでに涙が溢れていた。

怖くて怖かった。


美しすぎる彼が怖かった。



「ところが君は僕のことを跳ね除けた。
この気持ちがわかるかい?

君のことは許さないよ。

これからも君のこと追い続ける。おい続けていつか振り向かせる。そしてそのときに後悔させてやるんだ。必ずね。」



そういって私にキスしようとしてきた。


とっさに私は彼の頬を叩いていた。



収まらない動悸に震える手。

惨めな自分に嫌気がさした。



彼のことを押しのけて逃げようとした。



しかし前に進まない。




自分は手を掴まれていた。




「僕の名前。2年の榊まこと(さかき)だよ。忘れないで。」



「………あなたの名前なんて知りたくもありません。」



榊の手を強く振り払って私は保健室を飛び出した。




< 108 / 115 >

この作品をシェア

pagetop