レモンキャンディ
榊のあの発言彼は私のことを以前から知っていた?
いつどこで会ったのだろう。
それに彼は私に怒っていた。
彼があの張り紙を?
いや、彼が知るわけがない。
廊下で白衣をきた女の人とすれ違う。
「あなた、どうしたの?泣いてるじゃない。」
年齢は40後半から50くらいのおばさんだった。
ふわふわにカールさせたショートのヘアは暗めのブラウンに染まっていて温厚そうな彼女の風貌は母親を思い出させた。
「大丈夫です、、、。別に。」
そういって立ち去ろうとした。
「私これでもカウンセリングの心得もあるのよ。なにか辛いことがあるの?」
立ち去ろうとした足を止めてその人をみる。
その目は本気で自分のことを心配しているように見えた。
別に誰に聞かれるわけでもあるまい。
私は彼女に身を委ねることにした。