レモンキャンディ






母にそのことを話すと気にするなと言われた。


そういうのは反応するから喜ぶんだと。


だから次にあっても無視するようにした。


でもその男はずっと私について来るし無視してもずっと話しかけてくる。



それが鬱陶しくて私は言ってしまった。



「うるさい、この変態ジジイ。だれがお前なんか相手にするかってんだよ!」



するとそれまで温厚そうな顔をした男の顔が引きつった。


そしてぶつぶついいながら私の腕をものすごい強さで引っ張る。



「痛いよ。離して、やめて!」


「さおりちゃんが悪いんだよ。僕のこと怒らせるから。優しくしてあげようと思ったけどだーーめーー。」



急にうって変わった口調に背筋が凍る。

そして薄気味悪い笑みで舌なめずりする。


ひぃと小さい声しか出ないまま黒のワゴン車に私は突っ込まれた。



大きな声を出さなくてはと思って叫びはじめた途端頭を思いっきり殴られた。


めまいがして頭がズキズキする。


こんなに強く誰かに殴られたのは初めてだった。

怖くなってもう声を上げるのはやめようと思った。

もう殴られたくない。



それから私は強姦された。



私は穢れたんだと思った。






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