レモンキャンディ




目が開けるとそこは死後の世界。


そう思った。



だけど、目をあけたら真っ白な天井だった。




「さおり!」


真っ先に声をかけて来たのは父であった人だった。



「出ていって、」



名前を呼ばれたくない。



「さおり、俺のせいなのか?」


「そうだよ、おめーのせいだよ。あんたの嘘のせいだよ。罪悪感あんなら2度と顔みせんじゃねーよ。」


自分とは思えないほど汚い言葉が出てきた。



男は私の勢いに負けて帰っていった。




それとすれ違いに竜が顔を出す。




「泣くほど嬉しいのになんで追い返すんだよ。」



少し痩せた頬、
変わらない優しい顔立ちとメガネ。


何もかもが私の大好きな父のまんまだった。


愛しくて愛しくて、嬉しくて嬉しくて泣いていた。












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